いよいよ今週末から各小学校で運動会が始まります。一部の方は「えっ?」と思われるかもしれませんが、数年前から全国的な流れとして梅雨入り前の今頃に運動会を行う傾向になっているそうです。
最近組体操で負傷した小学生が来院しました。幸い安全対策がなされていたせいか大きなケガではなく、強固な固定を必要としない程度の症状でした。
今回は組体操について簡単にまとめてみたいと思います。
日本の教育に組体操が取り入れられたのは明治時代ごろのようです。当時は軍国主義的な要素もあり、まとまりを重視する傾向であったようです。
そして10~20年ほど前から一部の学校で組体操の「高層化競争」が行われるようになりました。力を合わせて危険を乗り越えるという組体操の持つ独特の魅力が「高層化」につながったと言われているそうです。
その高層化によって、失敗した時に発生するケガの重症化が進みました(内容を見る限り頭部のケガや複雑骨折など当院で対応できる水準をはるかに上回るものも少なくありませんでした)。
発生状況は組体操の練習中などに起きる事故は日本スポーツ振興センターのデータによると年間8000件を超え、2014年度には全国の小・中・高校で起きた8592件の事故のうち、「ピラミッド」が1241件、「タワー」が1133件だったとのことです。
それに配慮してスポーツ庁は、「演技種目や高さは一律に規制せず、原則として学校側の判断」に委ね、その上で「確実に安全でない場合は組体操を中止する」ことを求めた通知を出しました。
その通知について当院近隣の小学校では(患者さんに状況を聞く限り)高さを控えた種目になっているような気がします。
また、近年の傾向として「高さ」よりも「広さ」を重視した種目の取り組みが行われているようです。
今後もケガなく安全に、ケガをしてもすぐ治る程度のケガで済むような運動の取り組みになるような試みは少なくとも近隣の小学校で積極的に行われることを祈ります。